FREEHAND
第1章 『朱に染まりし始まり』
DROW:12 顕れる過去
書かれているのは、古代言語と思われる数行の文字で編まれた魔方陣のような図。
横には、ティアの字で『読解作業中』と書いてある。
だが…それは。
「なんで…どうして…この、魔方陣、が…!」
一度だけ。
一度だけ、それを、見たことがあった。
あれは、いつ?
あれは…!
<リーグ―――――――――っっっ!>
悲鳴に似た、女の声。
<逃げ…て…!>
か細く、今にも途切れそうな…声。
赤く染まった、体。
<嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!もう、僕は…誰も失いたくないんだぁぁぁ!>
逆巻いたのは炎。
赤い、赤い…炎が。
目の前に現れて。
<全てを…全てを燃やし尽くしてしまえぇぇぇ!!>
炎が意思を持っているかのように、何かを描く。
炎が、宙に走って。
現れたのは、赤い魔方陣。
「なんで…!」
あの時の魔方陣が?
それは、過去の過ち。
激しい後悔と、自己嫌悪の象徴。
あの時、僕は初めて人を殺した。
あの時、僕は初めて人の心を壊した。
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