FREEHAND

第1章 『朱に染まりし始まり』

DROW:5 彼女的改造計画


ズダダダダダ……!!

今日も修練場に何か起きる予兆か…。

あの、滅多な事では走ったりしない、人生半ば諦めました、がフレーズのリーグが物凄い勢いで駆け

ていく。

これで、何もないわけが無い。

ばんっ!

修練場の扉が乱暴に開けられる。

中にいた人物は、フォイドとリーグとフォイドの師…0級魔術師アリューン。

「アリューン師匠っ!」

「おや?どうしました?」

「どうしました?じゃないですよっ!」

どうやらリーグはずいぶん怒っているらしい。

それもそのはず…。

「あの人何なんですか、一体!僕は…」

「ちょっと、待ちなさいよ、リーグ!」

リーグを追ってきたのは、黒髪黒眼の少女。

昨日の漆黒の少女、ティアだった。

「ああ、ティアの事ですか」

アリューンがお茶を啜りながらのほほんと話す。

「いやね、彼女がここに探し物があるんで一人助手をつけて欲しい、っていってきたんですよ。だか

ら、そういうのはリーグが適任かと…」

「勝手にそんなこと決めないでくださいよ!!というか、一言ぐらいいってから…」

「アリューン様、ちょっとリーグの髪切って下町につれていってきますね、この長ったらしいぼさぼさ髪

と薄汚いローブどうにかしたいんで!」

ティアがリーグの髪を引っ張る。

どうやら、ティアはリーグの髪と服装に我慢ができなかったらしい。

まぁ、見るにも見かねない服装だと言う事は誰でも分かるのだが…。

「だから!僕はこのままで良いんですってば!」

「だめ!不衛生でしょ!?それに何?その瓶底めがね!買えばもっと薄いのもあるでしょ!?それ

にそんな格好した人を助手になんて私、嫌よ!」

「そんな、勝手なこと言わないでくださいよ!!僕はこのままが一番好きなんです!だから、ほっとい

…」

「い〜え、だめです!!…問答無用!」

「ちょ、ちょっとやめ…うぎゃああああ!!」

かくして、リーグはティアに引きずられていった。

素晴らしく響くリーグの断末魔を残して。

「…師匠、助けなくていいのか?」

側にいたフォイドがアリューンのカップにお茶を注ぎながら汗を流す。

今のアレは凄かった。

「いいんですよ。たまにはあれぐらい積極的で行動的な人に任せてみるのも一興ですよ。リーグ自

身、ティアから学ぶ事はたくさんあると思います」

「し、しかし…大丈夫なのか…アレで」

「大丈夫、大丈夫。死にはしませんて」

フォイドを諭しながら、そしてまたのんきにお茶を啜るアリューン。

「あ〜、やっぱりお茶はおいしいっ。特にこういうさわやか〜な朝はね☆」

そのさわやか〜な表情を見てフォイドは思った。

これは…絶対。

(師匠…またリーグで遊んでるな、こりゃ)

そう、思いつつも、フォイドもまたお茶を啜るのだった。

しかし、忘れていたが…フォイド、お茶なんざ啜って…修行はどうした…?


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